年度はじめに考える販促戦略

from琵琶湖湖畔のスタバより

戦国時代、近江は都に近く、米の生産力が高く、交通の要衝でもあったことから、天下を制する上で重要な地だったそうです。

本日は現場の都合上、「ひこにゃん」で有名な彦根城の近くに滞在することになったので、天下統一を目指して戦国武将たちが様々な思案をしただろう「戦略」についてSC販促的な視点で考えてみました。

いやー彦根城、桜が綺麗だったので思わず立ち寄ることに

4月になったので今週から新年度の販促が始まったSCも多いのではないでしょうか?

僕たちのイベントを導入してくれている施設から今期の販促計画を共有してもらったり、逆にこちらから提案していたりする施設もあるので、クライアントさんや社内のスタッフと年間計画について話をすることが最近何度かありました。

もう今期の計画が始まっているなら今さら遅いかもしれませんが、思考の整理を踏まえて少し考えをまとめておくのにちょうど良いかなと思ったわけです。

まとめるといっても、たいして複雑で難しいことは考えられないので、ざっくりとしてるけど大きな方向を間違えないために重要そうなことだけ押さえておきたいと思います。

戦略的な販促とは

戦略的とは「目的」「目標」があってはじめて成り立つもの。なので、目的がないと戦略を立てることができませんね。

例えば戦国時代だと「○○城を攻め落とす」という目的があって、そのために「どういう方角から攻める」とか「朝とか夜とかいつ攻める」とか「歩兵でいくか騎馬隊でいくか」といった戦略を考えるんでしょうけど、それは「××城を攻め落とす」場合だとやり方が変わってくるはずです。

その城がどんなところに立っているのか、城の中にいる兵力はどれくらいか、どんな武器を持っているのか、によってこちらの攻め方も変わりますよね。

どの城を攻め落とすのかという目的がなければ、そもそもどんな攻め方が良いのかという戦略を考えることはできないということになります。

SC販促においてはイベントを開催したり、チラシを作ったり、SNS使ったり、といった販促施策はたくさんありますが、何をするのが良いのか、いつするのが良いのか、というのは何のためにやるのかという「目的」がなかったらその良し悪しは判断しようがありません。

とはいえ、実際の現場では目的を考えることがなく、毎年この時期にやっているから同じようにやろう、とか大手の商業施設がやっていたらかウチも真似てみよう、とか話題のイベントだからやってみたい、とか何か新しいことをやりたい、といった感じで場当たり的に販促施策を打っていることがほとんどではないでしょうか?

あるいは、本社からの指令やテナントからの「要望に応じる」ということ自体が目的になってしまっている販促施策も散見されます。
「SDGSイベント」とかそんな感じじゃないでしょうか。販促というより社会貢献とかブランディング的な側面があるのに、販促で一括りにされているパターンですね。

そういったどこに向かっているのかよくわからない短期的な取り組みではなく、なにかしらの目的を定めて、その目的を達成するための一定期間の計画を立て、そのための各種販促施策を実行して、1歩ずつ目的に向かって進んでいく、というのが戦略的な販促のイメージになります。

何を目的にしたらよいのか

ではSC販促においての目的は何にすれば良いのか、ということになりますが、「売上を作る」ことなのは当然として、それを考えるために売上の構成を把握しておく必要が出てきます。

●館の売上=店舗数×1店舗あたりの平均売上高

まずはこれ。全館の売上は各店舗の売上を全部足したものなので、当たり前にわかる公式ですよね。

販促は店舗数を増やすということはないので、1店舗あたりの平均売上高を増やすことが目的になります。

●店舗の売上=客数×客単価

次にこれ。これも誰でも知ってる公式ですが、ここで僕が重要だと思うことは、「客数を増やすための販促施策」あるいは「客単価を上げるための販促施策」をやって効果が出た場合、結果として売上がアップするということ。

売上は各施策の結果でしかないのです。

●客数=来館者数×入店率×購入率
●客単価=購入点数×1商品あたりの平均単価


さらにこれ。客数×客単価を上記のように分解することができますね。

・来館者数をあげるために何ができるか、
・入店率をあげるために何ができるか、購入率をあげるためには・・・

こうやって売上を各要素に分解すると、やるべきことが考えやすくなりませんか?

例えば入店率をあげるためには店前に注目される看板を置くとか、イベントの参加者に店舗で使える割引券を配るとか。
(ソフトバンクショップの前に立っているロボットとかも目的は入店率をあげるためかと思います。)

なので、目的にすべきなのは来館者数とか入店率とか館の売上を構成するそれぞれの「要素」ということになります。

その要素に対して、館の販促でやれることやれないこと、店舗の販促でやれることやれないこと、がそれぞれあるわけです。しかし、

・何をすれば売上が上がる?といった「魔法の販促施策」を求めるSCサイドの販促担当者や、

・これで集客できます!といった売上を構成する1要素のことにしか興味がないイベント会社の営業担当者

が多いような気がします。

来館頻度の向上と買い回りの促進が販促戦略の鍵

売上を構成する各要素を把握し、限られた予算をどのように配分するかを計画することが戦略的な販促ということだと思います。

「来館者数」「入店率」「購入率」「購入点数」「商品単価」の要素のうち、僕たちが提供しているサービスは主に来館者数のアップと入店率のアップを目的としているものです。

いずれの要素も売上を上げるために高めていくべきですが、各店舗の取り組みに左右される部分より、館として影響力の発揮できる部分を販促施策でサポートすることになります。

その中でも来館者数に対しては外向けよりも、館内の来館者にアプローチして来館頻度をあげること、入店率に対しては来館者へ買い回りを促進させる施策による店舗への送客に注力します。

これらの館の施策と店舗での施策が合わさって売上は作られていくのだと思います。

これをやれば「売上が上がる」といった「魔法の販促施策」なんてありませんが、そんなものは「ない」という認識がまず重要なのではないかと考えています。いくら探しても答えが見つからないので考えても仕方がないし、迷走してしまいますからね。

ということで、こういった販促アプローチに興味があればぜひご相談ください。来期に検討してみたいといった先の話でもお気軽に。それではまた。