イベントスタッフの転職事情に思う事
イベント現場が重なると自前のスタッフだけでは足りなくなるので、外部からスタッフを依頼する事があります。
僕もほぼ毎週現場に出ているのでスタッフと色々話しをすることもあります。スタッフは学生や定職についていない方が多いのですが、先日現場で一緒になった女性は、勤めていた会社をやめ、次の仕事が始まるまで単発の派遣をしているとのこと。
彼女は大学を卒業後、3年間アパレルの販売員として店頭に立っていたのですが、この度、別の会社に事務職として転職するようです。
販売員の仕事は楽しく、職場の人間関係も良好で、休みもしっかり月10日。販売実績も全国で1位になったこともあるようで、どうやら仕事生活は充実していたそうです。
なのでなぜ仕事をやめたのかと理由を聞いてみると、「なんとなく別のことがやりたかった」、「土日休みの仕事にしたい」、「不規則が嫌」など、ショップスタッフにあるあるな理由をいくつかあげていました。
休日や時間帯のことは生活スタイルの話しなので、自分の望むスタイルで働ける仕事に移るということはなんら良いと思うのですが、1つとても気になる理由がありました。
それは「売上のためにお客様に無駄なお金を使わせるのが嫌だった」と・・・
求められてもいない商品をお勧めして売るのが申し訳ないという感じのことを言っていました。
もちろん会社からは売上を求められるのでしょう。こちらから提案して単価をアップさせていくことは販売員の基本。
でも目の前のお客さんに高額のお金を払わせる事に気が引けるという事でしょうか・・・
そこそこ単価の高いお店なので、これやあれやとセットで販売していくと数万円〜10万円を超える感じの価格帯です。彼女はきっと人が良いので相手のお財布のことを気遣って心を痛めていたのでしょう。
わかります。この気持ち。
しかしここには恐らく仕事をしていく上でとても邪魔な潜在意識が働いていると思われます。
それはそもそも、お金をもらうという事自体に何か「罪悪感」を持っているということ。
世の中には「売る」とか「儲ける」とかいうことが、なんとなく「悪い事」という感じがあります。専門家ではないので僕も詳しくはわかりませんが、そんな空気は確かにあります。
例えば請求書を受け取る時、なんとなく仕入れ先の方は「すいません」って感じで手渡してきます。現金で支払う時なんかは「あっすいません、ありがとうございます」って感じです。
ただ、中には堂々と請求書を出す人、当然という態度で現金を受け取る人もいます。が、僕の回りではレアケースです。
これらはやはり、そもそもお金をもらう事自体に何か「罪悪感」を持っているからでしょう。
でも仕事とは、価値のある商品、サービスを提供して、それに見合ったお金をいただくということなのですから、この罪悪感は克服しなければいけません。
そもそも悪い事ではないですからね。
前述のアパレル販売員の話も、勘違いの可能性だってあります。お客さんはとても裕福で10万円使ったとしても高いと思わないかもしれないし、そのお店で買わなかったらすぐに隣のお店に入って買うかもしれません。
口には出さなくても、もっともっと色んな提案をして欲しいと思っていたかもしれません。
売り込まない方が「悪いこと」とも考えられます。
お金をどう使うかはお客さんが決める事。
販売員としてはできるだけ多くの提案をすれば良いだけです。その提案によってお客さんにワクワクする気持ちを与えたり、良い買い物ができたという満足を与えることに集中すべきですよね。
無駄なお金になるかどうかは売り方次第。罪悪感を持って販売して、お客さんもなんか断れなくて買うとかなるときっと後から買った事を後悔しそうです。自信を持って販売すればお客さんも良いもの買ったとなるんじゃないでしょうか。
販売から事務の仕事に変わると、目の前でお金の受け渡しがなくなり、事務というサービスを提供して、会社から給料としてお金が口座に振り込まれる事になるので、恐らくお金をもらうという罪悪感を感じなくて済むのでしょうが、根本的には同じです。
価値を提供してお金をもらう事が仕事。そして自信を持ってお金を受け取れるよう、しっかりと価値を提供する。仕事をする以上はお金をもらう事に対する罪悪感を克服して、もらう以上の価値提供をしていくという心構えで取り組んでもらいたいと思います。