春から営業職につく女子大生の話
娘が習い事で近所のピアノ教室に通っています。2歳くらいから始めたのですが、今年は年長さんになるので、音楽を体で楽しむ段階から、だんだんと楽器を扱う時間が長くなってきました。
まわりの友だちはみんな家にピアノがあって練習もしているのですが、我が家にはピアノがありません。
近所に住む、ばぁばの家にはピアノがあるので週に1回だけ練習をしにいっていますが、やはりそれだけでは追いつかず、だんだん授業についていけなくなっているようです。
僕も妻も特に音楽に詳しいわけではなく、楽器も使えせん。子どもを音楽の道に進めたいという思いもありませんが、ただ子どもが音楽のリズムに乗って楽しそうにしている姿や楽器に興味を持っている姿をみて継続して通っているわけです。
「一つ楽器が使えると人生が豊かになりますよ」という、僕が崇拝する幼稚園の園長先生からの教えもあって、ある程度はピアノが弾けるようにしてあげたいなと思っています。
ただ、娘の興味がいつまで続くのかわからないし、ピアノを買うとなると、まぁ高額な上に、騒音やスペースの問題で家庭環境も変化してしまうわけであって、なかなか購入に踏み切れず、現在に至っているのです。
本物のピアノ以外にも電子ピアノという選択肢もありますが、先日妻がもっとお手軽な案としてキーボードでもいいんじゃないかという話しをしていました。本物のピアノとは全然違うんでしょうが、何か楽器が使えるようになれば良いかなというレベルなので、僕もそれでいいかなーと思っていました。たとえキーボードでも家にあればきっと練習ももっとできる・・・
そんな時、イベント現場で4月から某大手電子機器メーカーに就職が決まっている学生スタッフと一緒になったので、前述のピアノの話をしてみした。
というのも、彼女は音楽科の学生で、子どもの頃からピアノをやっているという経験を生かし、電子楽器を販売する営業職に就くことになっています。もちろんその会社では電子ピアノもキーボードも扱っています。それで、娘の話しをして、アドバイスをもらおうと思ったのです。
彼女いわく、
電子ピアノは性能が良くなってきていて本物のピアノに近づいてきているなどなんのかんの・・
キーボードは鍵盤も少なく電子ピアノに比べると○×▲■●○×・・・(格下だから断然ピアノが良いようなことを言っていました。)
とまぁ、自分自身ピアノをずっとやってきているだけに、本物の良さというか、質についてのこだわりのようなものを感じました。
その時はふーん、という感じで聞いていたのですが、その後、彼女が自分に営業ができるだろうかとうような不安を言葉にしていました。
特にしゃべりがうまかったり、ガツガツ積極的というタイプでもないので、まぁそら不安だろうなとは思います。
で、さっきの話しを思い出したのですが、もし彼女が僕に楽器の営業をかけるとすればどうなるでしょうか・・・
おそらく彼女は僕に電子ピアノの良さを熱く語って、キーボードではなく、自社の高性能な本物に限りなく近い電子ピアノを購入すべきだというようなことを言うのではないかと思いました。
そこで何が起こるかというと・・・・
「ミスマッチ」です。
買い手と売り手の思いのズレが生じます。
方や音楽、ピアノに熱い思いを持っている営業マン。
方や何か1つ楽器が弾けるようになれば良いと思っているお客さん。
このミスマッチ、セールスの現場ではよく起こる事だとは思いますが、やはり相手のことを考えずに売りたい物を押す、あるいは自分が良いと思っている物を押すというのは買い手にとっては迷惑以外のなにものでもなくなってしまいます。
このミスマッチが多々起こるので、営業は迷惑とか、セールスはいやな仕事とかいうイメージができあがっており、いざ自分が営業の仕事をするとなると不安が湧いてくるのではないでしょうか。
もしこれが、僕が買おうかなと思っているキーボードについて、良いところをたくさん話してくれたり、キーボードが使える事でこんな楽しい事ができますよ、みたいな内容で、決断を後押ししてくれるような話しをしてくれたら、僕にとってこの営業マン(レディー)はとてもいい人、もっと色々教えていただきたい人になるわけです。そうなると売り手の方も感謝されて楽しい仕事になってくるはずです。
彼女には営業に対する不安が少しでも解消するかなと思って、このような話をしてみましたが、まったく考えてもいなかった、というようなことを言っていました。(相手の価値観で考えるということ)
バリバリ本格的にやってきた人ならやはり質で劣る物を進めるというのは抵抗があるでしょう。ただ、自分の思いや価値観などセールスには関係ありません。あるのはお客さんの思いや価値観のみです。
マーケットとしても本格志向ならプロ、セミプロが対象なので、狭くなりますが、「1つ楽器を弾けるようになって人生を豊かにしよう」というアプローチであれば別に音楽関係者以外にも対象が拡大するわけです。
ということで、彼女が社会人となり、成長して、また何かショッピングセンターでもできる音楽イベントを企画して、一緒に仕事ができることがあればよいなーと思った今日の出来事でした。