怪我の功名
数年前からぎっくり腰とお付き合いしている。
いつものごとくカフェでパソコンを開いて仕事をしていた時である。
ふと足を組み替えた瞬間、突如腰に違和感を感じた。
うっ、という感じで身動きが取れない。少しでも体を動かそうとすると味わったことがないような激痛が走るのである。
もしや、これがギックリ腰というものなのか...
昼前の穏やかな時間が流れるカフェの中で、1人冷や汗をかきながら、どうやってこの場から移動したら良いものか、なんとか動こうとするものの、立ち上がることすらできない。
仕方がないので妻に電話をかけると幸いなことに自宅にいたため、車で迎えにきてもらうことにした。試行錯誤しながら痛みが走らない体の動かし方を見つけて店の外まで這い出し、なんとか車に乗り込んだ。
そこから整骨院や整体などの治療院を色々調べて通院することになったのだが、治療の効果があったのかどうかはよくわからず、結局は時間が直してくれたように思う。
「一度ギックリ腰になると癖になる」というのは誰もが聞いたことはあると思うが、まさにその通り。すっかり治ったと思って油断をしていたら突如再発するのである。
なんとなく予兆がある時もあるが、なんの前触れもなく発生することもある。とはいえ、振り返ってみるとやはり原因はあるもので、大体は仕事に忙殺されている時である。
平日はパソコン業務で長時間座りっぱなし。週末は各現場周りで長時間の運転と重たい資材の運搬。
そして予防のために行なっていた風呂上がりのストレッチや朝のラジオ体操が疎かになっている時、あの恐怖の激痛はやってくる。
つい先日も久々にやってしまった。ハロウィンのイベント用にどでかいカボチャを運んだり、新サービスの準備のために夜な夜なパソコン画面に張りついていたのである。
やっかいなギックリ腰とのお付き合いである。しかし今回はちょっとした発見もあった。安静にするばかりではなく無理のない範囲で動かしても良いのだという。
治療院で診てもらったら際、背中やお腹がガチガチで血行が悪くなっていると。それで腰の筋肉が引っ張られて筋膜が裂けたということだ。だから多少の運動で血行をよくすれば治りが早くなるというわけだ。
そこで今回はギックリ腰が発生した3日目から散歩を始めてみたのだが、本当に治りが早かった。歩いているうちに痛みが消えていくほど効果が的面。
幸い自宅の前には大きな公園があり、散歩してみるとなんとも気持ちが良い。いつもたくさんの人がランニングやウォーキングをしている姿を他人事のようにみていたがすっかり自分もハマってしまった。これは運動不足を解消する良いきっかけになりそうである。
今では何十年ぶりかにランニングシューズも買ってジョギングまでしている。適度な運動で血流が良くなると頭も働いて仕事もはかどるのだからやめられない。
ギックリ腰の激痛を避けたいという恐怖がなければ歩き出すこともなかったが、おかげで健康的な良い習慣が身につきそうである。
佐藤